
人生敗北糞野郎ことマケイヌです。今回のおすすめは
当時衝撃的だった2000年リリース
RADIOHEADの4thアルバム「KID A」です。
傑作「OKコンピューター」でロックバンドとしての評価を決定的なものにしていたRADIOHEADが、既存のスタイルを越え、ポピュラーミュージックの可能性を示した1枚。
RADIOHEADとは
- 1985年にトム・ヨーク 、ジョニー・グリーンウッド、エド・オブライエン、コリン・グリーンウッド、フィル・セルウェイの5人によりオックスフォードにて結成。
- シングル「Creep」にてブレイク。2ndアルバム「ザ・ベンズ」および3rdアルバム「OKコンピューター」で高い評価と人気を獲得。
- 枠にとらわれない多様な音楽性、トム・ヨークの感傷的な歌声が特徴
前作「OKコンピューター」においてもトリップホップなどの多様なテイストを感じさせていましたが、ギターを中心としたバンドサウンドの中で作りこまれていました。
本作「KID A」ではAutechre、Aphex Twinなどのエレクトロニカ/IDMからクラウトロック/プログレッシブロック、ポストロック、ジャズ、現代音楽まで多彩な音楽性をポピュラーミュージックとして昇華。
20世紀最後年という時代感とも相まって強烈に響いたのを覚えています。
新しい音楽性を取り入れて自らのスタイルを壊していくことは、ロックバンドとして決して珍しいことではないですが(むしろ本来のロック的な感じですね)、完全に成功をおさめていたRADIOHEADが、エレクトロニカ的なアプローチでバンドサウンドを解体してしまったというギャップが当時衝撃的でした。これ以降の影響を考えるとエポックメイキングな1枚といっていいでしょう。
静かな幕開けからレイヤーを重ねながらじわじわとテンションを増していくM1。ひずんだヴォーカルと澄んだうわものが印象的なM2。トリップホップ的なベースライン、ドラムと中盤以降のホーンがたまらないM3。寂莫とした歌と不穏なサウンドが心を揺さぶるM4、凛とした美しさを感じさせるドローン音響系なM5、本作では貴重なギターリフが効果的なM6から不安な酩酊感を誘うM7とつないでの、ミニマルなビートとエモーショナルなボーカルM8、柔らくも力強い歌を聴かせつつ中盤の現代音楽的なテイストや終盤のカオスな展開を聴かせるM9とアルバム終盤にピークに。そしてノスタルジックなM10、どこか聖歌を思わせる音響M11で静かに閉じていく。
多彩なサウンドで最後まで飽きさせない。ポピュラーミュージックから遠いところで鳴っているようでいて、逆説的にものすごくエンターテインメントな一枚かもしれない(乱暴ないいかたですが)。
アルバムを通したどこか醒めた美しさが心に響く。電子音楽的なアプローチが目立つので、その醒めた美しさに無機質な印象を覚えるのだが、実は人間臭かったりエモーショナルだったりするのが、やはりRADIOHEADなのだなと思ったりします。